お空とあんずの木の下で

子育てや読書のことなどいろいろ

広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険』レビュー①

この本の購入に至ったきっかけは、帯に書かれていた「これ食べたら死む?」という一言。これはまさにうちの娘(5歳)が現在発している言葉で、いつも「死ぬ」が「死む」になっていて不思議だったが、これを言うのはうちの子だけじゃなかったんだ!という驚きと興味で、この本を読むに至った。 読んでみると、「死む」になる理由もわかったし、他にもこれもうちの子と一緒だ!と思うことがいくつもあった。

第1章 字を知らないからわかること

「は」と「ば」の関係は普通じゃない。

これは、大人だったら「は」に濁点を付けたら「ば」になる、というのは当たり前すぎて、これまで全く気付いてなかったが、「は」と「ば」の関係は"「か」と「が」" や "「さ」と「ざ」"の 関係とは違うということ。この本を読んで初めて気付いたけど、これを文字を完全にわかっていない子供のほうがこの関係に気付いていることがあるというのが、また驚きだった。 ちなみに娘(5歳)に聞いてみたら、すでに「は」に点々をつけたら「ば」になると答えたので、息子が少し文字を覚え始めたら是非聞いてみようと思う。どんな答えが返ってくるか楽しみ。

ちなみに、「は」と「ば」の例とは外れるけれど、うちの息子はもう少し小さい頃、「は」を「あ」と発音していて、「フランス人か!」と突っ込みたくなったのと同時に、「は行」を「あ行」で発音するのは、もしかしたら人の発声(専門ではないのでよくわからないが口の中の機能上?)として自然なことなのかもしれないと思ったのを思い出した。特に直したりはしていないけれど、いつの間にやら「は行」の音の出し方がわかったようで、今では普通に発音している。

それにしても、文字を知らない子供たちが耳から聞いた音だけでどんどん言葉を覚えていくのには本当に驚かされる。保育園で教えてもらう歌なども耳で聞いただけで覚えてくるので、これは大人にはなかなか真似できないなと思っている。そして、耳だけで覚えるからこそのちょっとおもしろい間違いもあって、こちらは楽しませてもらっている。

例えば、「十二支のうた」というのを娘が覚えてきたときは、途中で「えだまめしゃあら、えだまめしゃあら、どうぶつのおうさま~」という歌詞が出てきて、なんでここで「枝豆」が出てくるの?とすごく不思議だったのだけれど、インターネットで歌詞を調べてみたら、「選ばれちゃ~った、選ばれちゃ~った、動物の王様~」という歌詞だった。十二支の動物たちが神様の門をくぐって、十二支に選ばれたという歌詞なのだけれど、文字で書かれた歌詞を見てなるほど~と思った。大人たちを和ませてくれる、何とも言えないおもしろ間違い(笑)。

第2章 「みんな」は何文字?

「うんち」を「う・ん・ち」ではなく、「うん・ち」と読むというお子さんの話から始まるが、これを見て思い出したのが、娘とのしりとり遊び。

私:「ぶどう」、娘「んち!」。

なんで「ぶどう」の後に「うんち」が来てもいいとわかっているのに、「んち」になるのか不思議だが、「んち」じゃなくて「うんち」やろ?と言うと、「あっ、そっかあ」と言って笑っていた娘。どうも子供の中では「ん」と「うん」はかなり近いものと認識されているのかもしれない。

「かににさされた」という例も出ていたが、これもまさにうちの息子が言っていた(笑)。「蚊にさされたんやね」とそれとなく正しい文で繰り返したけど、あまりピンと来ていなかった模様。

音が入れ替わる系のエラーを音位転換というらしいのだけれど、我が家で出てきたのは、「ボロット」(ロボット)、「にしやつま」(にしまつや)など。

それから、音が多くなってしまうものとしては、「ありがとうましました~」(ありがとうございました)、「あたらたらしいの」(新しいの)など。「ありがとうましました〜」は単純に音が多くなっているだけではないけど、兄弟でお店屋さんごっこをして、一生懸命お姉ちゃんの真似をしようとして、息子が「ありがとうましました〜」(むしろ、どちらかと言うと「ありがとうまちまちた〜」に近い)と言っていたのを思い出してほっこりする。


ちょっと長くなってしまったので、続きはまた次回へ。